C型肝炎・陽性について     

C型肝炎の検査でC型肝炎ウイルス抗体が陽性と出たら医師から「C型肝炎の疑いがあります」と言われると思います、ただし、この段階ではまだ「C型肝炎です」と明確な判断が下されたわけではありません、例え検査の結果が陽性であっても肝機能(GOTやGPT)が正常な人もいるようですから、陽性だからと言ってC型肝炎とは言えないようです。

肝機能が正常な人の中には一度はC型肝炎ウイルスの侵入を受けたが、知らないうちにウイルスが体の中からいなくなった状態つまり「既感染者」と言われる人たちと、C型肝炎ウイルスの無症候性キャリアーと言われる人たちです「無症候性キャリアー」とはC型肝炎ウイルスに感染してもウイルスを体内から排除できないでいる状態の人を「無症候性キャリアー」と言います。

このような事からC型肝炎の検査で陽性と出た人のタイプを分けるとだいたい三つのグループにに分けられます。(アルコール性肝障害や脂肪肝などは除きます)

● C型肝炎ウイルスを体内に持続的に保持していてGOTやGPTと言われる肝機能の値に異常値がある人。

● C型肝炎ウイルスは体の中に保持していても肝機能は正常に保っている人、つまり無症候性キャリアの人。

● C型肝炎ウイルスの感染を受けながらも、既に体内からウイルスが消滅している人既感染者と言われる人たち。

しかし、これまでは肝機能に特に異常が見られない人の場合は、定期的に行われる検査だけでC型肝炎を積極的に治療すると言う事はありませんでしたが、最近になってそれらの人達に肝臓の線維化見られるようになり、肝炎の症状が進んでいる事が判明してきました。

C型肝炎・線維化について

C型肝炎ウイルス検査で陽性と出た人の中で持続的にALT(GPT)値に異常が見られなくても、肝臓の状態を検査すると70%が軽度ではありますが肝臓の線維化が進んでいたそうです、線維化というのは肝臓の炎症によって幹細胞が破壊されたり、新しく細胞が作られてたりしているうちに肝臓の線維化という現象が現れます。

肝臓で線維化が進んでも、線維化の症状が軽いうちはなんの問題もありませんが、線維化がさらに進行した場合は肝臓の働きに支障が起きてきます、やがては肝硬変や肝がんへと進行してしまいますので、この線維化の進行を食い止めるための治療が必要になってきます。

肝臓の状態を検査すると言う事は、肝炎の進行が今後肝硬変や肝がんへ進んでいくかどうかの病気の状態を知る上でも非常に重要なことですので、線維化の進み具合を検査することは重要です、肝機能が正常な人でもC型肝炎ウイルスが陽性と出た人は、一度肝生検を受けて肝硬変や肝がんへ進む危険性がどれくらいなのかを知っておく必要があります。

ではここで、C型肝炎ウイルスに感染した時の肝臓はその後どのように変化していくのかを説明しますと、ウイルスによって引き起こされて肝炎は発熱や食欲の低下、吐き気、だるさ、などの症状があらわれますが、症状が軽いため肝炎にきずかない事が多く慢性肝炎へと進んでいきます。

ウイルスに侵された肝臓は、線維芽細胞という細胞が線維成分を増やして壊れそうになる肝臓を守ろうとした結果肝組織の線維化が始まります、ケガや火傷が治ったあと皮膚に残る白い線維状と同じものといえます。

やがて肝細胞が破壊されて線維化が肝臓の広い範囲にまで広がると柔らかいはずの肝臓が萎縮して硬い肝臓へと変化します、これが肝硬変と言われるものです、肝硬変にまで幹細胞が分裂を繰り返すと細胞内の遺伝子に傷がつき、遺伝子変異の発生率が高くなってしまい癌が発生しやすくなってしまいます。

C型肝炎・AST (GOT)値、ALT(GPT)値について

C型肝炎ウイルスに感染して肝硬変や肝がんへ進む事を防ぐためには最初にインターフェロンの治療が必要となりますが、患者さんの中にはそのインターフェロンの治療が困難な人もいます、その場合はAST (GOT)値、ALT(GPT)値をなるべく低い値で抑えておく治療が必要となります。

以前のC型肝炎の治療では、ALT(GPT)値が低い人の場合はインターフェロン治療を行ってもウイルスの排除が少なくALT値が悪くなることなどを考慮して定期検査をするのみで、積極的な治療はされない事がありましたが、最近のC型肝炎の治療においては最新の治療としてのペグインターフェロンとリバビリンの併用することによる治療が行われています。

ペグインターフェロンとリバビリンの併用による治療法のC型肝炎ウイルスの排除効果はたいへんに高い確率で、ウイルスの種類にもよりますがほぼ完全に治癒する事もあるようです、また、ALT値が基準値以下の人にもかなり高い確率でウイルスの排除が見られるようになりました。

したがって、ALT値に異常が認められる人は言うまでもありませんが、ALT値が基準値を下回っている人でも医療機関において健診してもらう事が良いのではないでしょうか、自身の肝臓の状態や感染しているウイルスのタイプなどや、年齢などを考えた上での最も適した治療は何なのかを把握しておくことが、肝がんを予防する手段として非常に大切な事です。


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